「のどが疲れやすく、無茶すると回復しにくくなる」のは、齢をとるにつれ感じることです。若いときは「無茶をしても戻るのは早い」のです。ですから、勢いでやれてしまいます。勢いでやらなくては、技や実力がつくまで出せないから、これはこれでよいのです。実力が伴えばそれにこしたことはありません。
勢いの時期のあとは、のどに疲れを感じるようになることで、工夫して、基礎の力と技を得ていくのです。量と激しさから、質と静けさへ移っていくのです。
若い人はつぶれない程度に量をやることです。表現は勢いで支えていてもよいです。その直感を技術的にキャリアに変えていきます。それをトレーナーが手伝うのです。
トレーナーが過保護になると、いつまでも真の力がつかないということにもなります。ある時期のオーバーワークの継続を、レッスンに入る前の遊びとして経験することは、大成するのに大切なことです。
すぐに習うのも一つの道です。ですが、習う先で教えたがる人にあたると、あまりよい結果になりません。人を選ぶのも勢いでかまいません。そこも感性と才能で選べるようになればよいのです。