ここのところ、科学的に解明されたことに基づいたレッスンを求めにいらっしゃる人がとても多いです。紹介でいらっしゃる人と、本やホームページで、私の説に同感していらっしゃる方が多いからです。
そこで「科学的にはどうなのか」という説明を求められることもあります。しかし、そこは科学というより、物理学、生理学に基づいて説明できることがあるということに過ぎないのです。あるいは、医学、音声学や発声の原理に根拠を見出せるもの、いわば、言語聴覚士の扱うようなことに、心身や脳の学問、さらに言語学、演技や表現の論を併せたものがあるといえばよいのでしょうか。
トレーナーは、ある程度そういうことを踏まえておく方がよいと思います。しかし、「高い声を出すのに強い息を使う必要がない」ようなことを、“科学的”に説明しなくてはいけないとしたら、そのようなレッスンがあるとしたら、それはもっと大切なことを抜かしていると思わざるをえません。
科学的とか正しいということとレッスンについては、私の“論点”を参考にしてください。
科学と科学的は違います。理論、知識と実践は違います。現実とイメージ
は違います。研究所は、研究するところですから、この辺りは、とことん突き詰めていきます。しかし、あなたが研究者でなければ、科学的に考えようとする頭をはずすことが先決です。研究することは、自らの声のこととその表現についてでしょう。