自由を妨げるものを使うことで力がつく、これがトレーニングの原則です。ですから、自由を広げる補助ツールを使うと力はつかなくなります。
たとえば、マイクやカラオケ機器というお助けツールを使うと、早くうまく聞こえるようになります。それは、そのように聞こえるだけです。うまく、というのは、うまく欠点を隠したわけです。それでは実力はつかないでしょう。
逆に、アカペラにした方が、下手に聞こえるようになって力がつきやすいのです。そうして欠点をあぶり出すことです。レッスンは、欠点を知ることにあります。それをなくすのでなく、それを長所にしたり、スルーできるようにしていくのです。
よいものとのギャップが本人にもみえるようにするのです。うまいと思うと、それ以上にうまくならず、下手と思うと、それだけでよくなる方へいくからです。
歌につけるピアノの伴奏なども、うますぎると歌手が育ちません。そこで音楽的なセッションができて感覚が磨かれるという見方もありますが、大半は、ピアノの演奏力に歌がのっかっていくからです。ピアノの助けで聞かせられているだけです。セッションは、ぶつけあうことでの新たな即興作品です。相方によほどの力がないと成り立つものではありません。(rf)