トレーナーが立派な声でなくとも、教えるのにすぐれていればよいと思っています。声の出ないトレーナーを否定しているわけではありません。トレーナーによっても大きな差はありますし、それぞれに強味も違います。
オペラ歌手ならオペラの歌唱がよければよい。トレーナーなら教えた人の声がよくなればよいのです。トレーナーの声にこだわっているつもりはありません。
共鳴―声量というのは、アカペラの世界においては第一の条件です。発音や音感、リズム感がいくらよくても、音として伝わらなくては乗っているものは伝わりません。
ビジネスマンの声の研修で、「声の要素のうち、もっとも大切なのは何でしょうか」と聞くと、説得力、高さ、入れのよさ、元気、心、優しい感じ、魅力とか、いろんな答えが返ってきます。正答は声量です。どれもまず、相手に聞こえなくては始まらないということで、声量です。
声の大きさは、大きければよいのではないですが、適度に通る声、不自由なく伝わる大きさの声が必要です。この基本が、特にマイクが必然となった歌唱のヴォイトレからは失われています。ヴォーカルのためのヴォイトレが混乱しているのです。