夢実現・目標達成のための考え方と心身声のトレーニング(旧:ヴォイストレーナーの選び方)

声、発声、聞くこと、ヴォイストレーニングに関心のある人に( 1本版は、https://infobvt.wordpress.com/ をご利用ください。)

未成熟のままに

日本人は、完成されたものより、未成熟からのプロセスに惹きつけられるように思います。弱者としての生存術が、日本の歌謡において、第二次大戦後は、頑なに続いています。流行歌まで禁じられていたという状態からの反動やアメリカ文化に対する憧れもあったと思われます。

 アメリカによる徹底した破壊から一転して、予想外の解放と自由が与えられたのです。これが中国やソ連の統治下であったなら、日本の戦後は全く異なっていたでしょう。もう少し自立して、父権的、武士的なもの、和魂が残ったのでは、と思います。日本に侵略されたと訴えを大にしている2つの隣国と同じく、多くの日本人もまた、戦争の前の日本人、軍隊(上官)や軍国主義が嫌いだったと思うのです。

 今、滅びていこうとしている芸は、そういった体質から抜けきれないものです。スポーツでも、相撲、柔道、水泳、プロレス、格闘技…、創始者が奔放に創造してきたことを継承しているうちに、模範の型やルールに定まっていきます。その分、保守化してエネルギーが奪われてしまいます。すると、それを超えるものが取って代わっていく。それが人類の歩みでもあったわけです。

 とはいえ、何であれ、世界で、民主主義国家をもっとも完全に近い形で実現しているのはまぎれもなく日本で、そこを否定しているわけではありません。そのやさしさが、表現のパワーにならず、無関心、「表だって行動せず」のようになっていますが、誰が責められましょうか。昭和天皇は「自分が正しいと思う人が一歩下がれば争いは起きない」と言い残されました。