私が「ベスト」でなく「ベター」というのは、今のもっともよいところに声をもってくることです。声域、声量も、使う音(ハミング。母音子音)も一番使いやすいものを選びます。使いやすいものはベターで、必ずしもベストでないと知ったうえでのことです。
まずは、一音です。確実に声にします。かすれずにハスキーにならない方がよいです。最も均質に吐いた息で声を使います。
かすれないためには、ハミングやマ行がよく使われます。コーラスのような声でかまいません。しぜんなビブラートがついていたらよいでしょう。
高さとしては裏声と地声、2つにそれぞれよい声があるといえるかもしれません。それを30分ほどくり返してチェックするとよいでしょう。
ピッチを正しくとか、発音をクリアに、母音を揃えて、といった課題ではありません。楽器の音のように、声を音として意味なく、共鳴、響きとして捉えます。あえていうなら音色とそのキープ感を養うのです。