トレーナーは「教える」、「与える」のでなく、「問う」場を与えるのです。邦楽で、師が弟子に、「自分のやる通りにやれ」と言うのは、自分のようにできたら完成というのではありません。
これから自分の声がどのようになるのかを、まだ体験していない人にあるのは、勘だけです。それで判断して、歩み始めるのですが、そのプロセス、方法、トレーナーについて、一致というのはそう簡単にできないものです。歩み始めるまでに3年くらいかかっても遅くないといえます。
私は今、「ここにいる十数名のトレーナーの判断がわかるまで3年かかってもよい、そしたら自分にもっとよいトレーナーがわかる」と言っていました。「自分によい」というのを、好き嫌いや憧れでなく、必要性で判断するのは、至難のことです。それなりの基準を身につけなくてはできないのです。