「自分の歌」とは、私は「本人だけの声とフレーズ」をもってオリジナリティとします。自分のつくった歌がヒットしたのでなく、他人と同じ曲を歌っても、その歌手独自のものになるということでのオリジナリティのことです。
私はが、古いものは必ずしも好きでないのに、今もってなお、美空ひばりを最も評価せざるをえないのは、その点において、他に類をみないからです。今の日本のベテラン歌手といわれる人でも、彼女の歌を歌うと彼女の歌い方が出てしまいます。それを自分に置き替えなくてはだめなのです。逆に、ひばりは、どんな歌も自分のものにして歌っているのです。
日本の歌手はプロでも、他人の歌を歌うと自分自身のオリジナリティを失い、他人の物まねになりがちでがっかりします。これでは、アマチュアのうまい人と同じ、物まね芸人レベルなのです。
そこは、カバーでも一味も二味も違う、憂歌団の木村さんを見習ってください。
海外で学ぶ日本のトップレベルのヴォーカリストでも、海外のレベルのヴォーカルに追いつけと真似ているだけで終わっているばかりです。日本では外国人に似た“オリジナル”そっくりの歌い方ができれば評価されるという、いつもの「二重性の問題」は、未だに根深いのです。