声のよし悪しは、どのくらいの問題になるのでしょうか。
「ガラガラ声でカエルのよう、と叩かれた。大事なのは真実を語っているかどうかだ」(ボブ・ディラン、2014年グラミー賞のプレ・イベントにて)
オペラ歌手の評価ではないから、声の美しさはあまり関係なさそうですね。声だけでなく歌詞の内容や曲、ステージなどもトータルとした世界観、それによってアーティストたるものが決まってくるのでしょう。しかし、私が述べていくのはそういうところではありません。ヴォイトレをする人にとっての考え方、取り組み方、学び方です。
どんなアーティストからも学べるのですが、何を学ぶかでしょう。声やその使い方について、ボブ・ディランは、あまりお勧めしてきませんでした。トム・ウェイツなどと同じように、声やその使い方でなく、作品において声の存在感とアピール力として参考になるとしてきました。
声のよし悪しなどは、歌でつくりあげていく音の表現の世界にとっては、ツールに過ぎません。声として発声としてあまりよくないとしても、アピール力があれば使える武器として、喉や発声の弱点さえ、長所にできる例は取り上げてきました。
私の本には、出していなかったヴォーカリストをあげると、忌野清志郎、綾戸智恵、吉田拓郎、玉置浩ニ、桑田佳祐、松任谷由美、中島みゆき(以上、敬称略)など。長く続けているアーティストは、ほぼ入ります。ヴォーカリストやシンガーよりアーティストと呼ばれる人たちです。