26.研究所のレッスン
トレーナーは、自分の経験そのものより、これまで経験してきた指導相手のタイプと、その結果からルーティンワークをします。そこに、具体的な情報、あなた特有のものがなければ、そのまま進みます。 仮にここにサービスを求めるなら、トレーナーに丸投げせず…
使えるマニュアルで、レベルや人によっては使えない、いや、使わずにもっと他によいメニュや方法があることを忘れてはいけないということです。自分自身のメニュや方法をつくる力をつけるために先人のメニュがあると思うべきです。 多くの場合、本人が人まね…
問題は、問題として取り上げるかが問題であって、あまり問題とせずに、メニュを楽しんでいたら自ずと解決していく、それが理想というか、唯一のワープ法です。 できないというのは、必ずしもだめなのでなく、長所を見つける手立てになるということが最大の理…
発声の適度というのが、その人のその日の状態によっても違います。さらに人によって相当違うということです。それをきちんとつかんだ上で、どうするかなのです。それを今の自分の状態だけでつかんだら、その枠から出られなくなるのです。 何回も声を壊したり…
二人以上のトレーナーがつき、異なるメニュを使っています。そのことで少しでも多くに気づくようにしているのです。「全てをいつかできる」ようにするため、そのときが来るようにするために、今から「全てをすぐにできないこと」を知るためにやってもらいた…
ヴォイトレは声のトレーニングですが、道ということでいうと、もっと総合的なところへ開花していくのです。 声は変っていないのに、本人がとてもよくなったと喜んでいる、そういうことは昔からよくありました。私が間違っているのかとも思いましたが、それで…
「どれが一番よいメニュか?基本か?」と言われても、そういうプログラムではないのです。何をどうやったかみるのには、やっていることからスタートすればよいのです。作詞作曲の本など読まなくても(最初からは読まない方がよいと思いますが)、ことばをた…
いつからでしょうか、「わからないからダメだ」という判断をする人が増えました。わからないところを探しては、すぐに直そうとか潰そうとする人もいます。日本の芸の衰退はそこらから始まったと思います。「他の人もわからない」と言っていると安心するので…
どこをどう聞くかで、その人の今の器がわかります。「どこを」とは、「何を」、ということです。問いが初心者レベルなら、やはり初心者なのです。 「知りたいなら、すべてそのレベルでの答えを知ったらよい」というのが、研究所のQ&Aブログです。でも答えで…
私は「私にでなく、同世代以下の人や周りの人に歌うのですから」と言うことがあります。それは、トレーナーの気に入るように歌えるようになったのに、どこにも通じない歌い手をたくさんみてきたからです。 シルバー世代が音楽分野にも力をもつ日本では、この…
声の力を、声としてだけでなく、相手に対する働きかけ、効果、影響力と広げるなら、声は人としての総合的な能力の開発と深く結びついています。私は、歌も話も下手だという人、セールスマン、店員、経営者や商売人などのなかにも素晴らしい声の持ち主をみて…
できた、と言っても、確実にできなければとても使えません。ときたま、できたときだけ人前でやってみせるというわけにいかないのが、肉体芸術やアスリートの厳しさだと思います。 どんな状況でもできるのをもって、応用と述べてきました。オリンピックなら、…
成果を直感でみる、それを10年先か今日みるのかでは全く違います。ここまで近視眼的になってしまったのは、時代とはいえ、教育や環境のせい、大人の責任も大きいでしょう。 きついから高まるわけではありません。でもきつくないのに高まることもありません。…
教えられるまま、言われるままにするのと、素直とは違います。教えを活かすには、素直でなくてはよくありません。しかし、従順なだけでは足りません。活かせない人は、教わるよりも自ら気づくようになることからです。 声は気分や響かせ方を少し変えたらずっ…
「悪い頭は使うな」と言うのは、使ってもうまくいかなかったら使うな、ということです。最初から使うな、ではありません。使えないのを知るために、大いに使えばよいのです。 心身も頭も、自分に限界を感じて、他人のレッスンを受けたら素直になれるからです…
余裕があり、煮詰まらないとしたら、低いレベルでやっているからです。高いレベル設定ができていないからです。それでは、少し上達したあとに伸びることもありません。何が必要かがわかっていないからです。 「周りから『うまい』と言われて、これ以上どうす…
押すと反発する、その力を吸収すると相手は自ら倒れ、気づいたら勝負に勝っている、結果としてうまくいっていると、合気道の藤平師範に教わりました。人間関係にもアートもに通じるものがあります。 もっとよいのは、そこに関わらないことです。自立、唯我独…
頭がよくて、すぐに「わかった」と言う人が多くなったように思います。私も、若いときは、内心わかったと思っても、後日、わかっていないことがわかったことの方が多かったです。わかっていてもわかっていなくても、できることが問われるのですから、わかる…
この研究所には、ビブラートのかけ方を教えるトレーナーはいません。私が、そうするように禁じているのではなく、今までのところ、そうだったのです。今後のことはわかりませんが。それだけをもってよし悪しを決めるつもりはありません。 これは、形を教えて…
よく、ご自分のトレーナーが、忙しくなってとか、海外へ行ってとか、引退してとかで、次のトレーナーを求めてここにいらっしゃる人がいます。 歌手は、大体が一代限りです。芸能界に限らず、今の日本の社会は、二世、三世が全盛、そのなかで、珍しいことです…
現実として、腹式呼吸でも発声でも、私の思うに、基礎のレベルができている人は1割もいません(ここでいう基礎は、音大オペラ科4年生くらい)。教え方やノウハウでは、1、2年で2、3割うまくなっても、その後5年、10年伸びていない現状を知ってから、本当の基…
本質を把握することです。そして、動かす、変える、変わるなど、行動することです。そこでは、つかんで動かすという、もっとも原始的な原理のままに、ものごとは成し遂げられます。五感でキャッチして行動する、この2つの動きで成り立つのです。 トレーナー…
「受けた人がよいと思うレッスンがよい」と考えるトレーナーが、自分のレッスンを正しいという確証をどうしてもてるのか、というところから入ります。世界一の歌い手ならわかります。世界一のレベルの歌い手を育てたならわかります。世界一の歌や声だという…
ヴォーカルというのは、自己肯定力がないと続けられないものですから、どこかで自信過剰、自惚れがあります。まして売れた人ならプライドも相当に高いものです。売れていないのにプライドだけが高い人は、難しいです。 よい歌い手でも、自己肯定力があまりに…
ときに、表現力をつけたいと言って来る人がいます。この場合、ベテランの人ほど変わるのは難しいことです。初心者は、一流のものを聞くこと、そこから力が引き出されるようにプログラムすれば、後は時間をかければよいのです。 しかし、ベテランは、それが終…
自分を疑い続けているトレーナーには自信を与えますが、疑ったことのないトレーナーには、挫折から学んでもらいたいと思っています。早く挫折して欲しいので、ベテランの生徒や難しい生徒を混ぜたりします。うまくいかないところにこそ、その人の個性やよさ…
私は、トレーナーには、いらしてから2、3年、本人のやりたいようにやらせます。生徒に対してきたのと同じスタンスです。本人が生徒と接して学んで自ら気づいて変わるのを邪魔したくないからです。これまでの私たちと異なるやり方やメニュを、ここで発達させ…
今の私は、他のトレーナーや他のやり方の方が早く、いや早くよりも将来的により大きな可能性を得られるというなら、自分のやり方に固執しません。 トレーナーが自らを絶対視しているのはよくありません。他のスクールでは、よくみました。そのために、もっと…
普通、トレーナーは、自分のやり方があまり通じない人や合わない人とは長く接しません、そういう人は、伸びないとみなされるか、他に移るからです。他のトレーナーで上達していくようなプロセスを知ったり経験したりする機会がほとんどないでしょう。そのよ…
メニュもやり方も、すべて変じて多様なものになります。変じてあたりまえです。トレーナーも多様でありたいものです。多様であることは豊かなことだからです。 レッスンで、やり方がどうとすぐに言う人をみると、そう前に、なぜ一度、受け入れてみて学ばない…